「ふくしまの今、そして未来創造」
明日は、あの日から11年目。
福島県の今を伝えるために書かせていただいた。
【ふくしまの今】
福島県が他の被災地と大きく異なるのは、「東京電力福島第一原子力発電所」を抱えているが故に、この先40年とも50年とも、それ以上とも言われる未知の廃炉完了の時まで福島県民はその脅威を背負い続ける宿命にあることを「震災関連死者数」が物語っている。
2021年9月30日現在の「震災関連死者数」は、岩手県470人、宮城県929人に比べて、福島県は2,329人である。
福島県の「震災関連死者数」が圧倒的に多いことは、原発事故により着の身着のままで避難を余儀なくされ、先祖代々の故郷を失い、人の繋がりを失い、生きる気力を失ったことによる急激な老いのための病死や、自殺した福島県民が如何に多いかを物語っている。
つまり、原発により命を奪われた人たちと言っても過言ではないのだ。
今年2月現在で26,692人の人たちが今もなお全国47都道府県で避難生活を送っているが、11年が経過して故郷へは戻らないと決断し、住宅を取得したり公営住宅に入居し住民票を移動した人は統計上の避難者には含まれないため、その数は実態とは大きな乖離があり、福島県の抱える問題を矮小化する意図が見える。
更には、除染が進んだことで多くの避難指示区域が解除されたとはいえ、避難指示解除区域全体の居住率は今なお28%にとどまっており、富岡町13.2%、浪江町8.6%、大熊町3.6%、原発立地の双葉町は未だに1人も帰還できないのが現実なのだ。
【ふくしまの未来創造】
未来とは、もともと未知なるもので予測など出来るはずのないものだが、福島県の未来は、それとは違った意味で明らかに予測不可能なものとなっている。廃炉の方法も手順も技術開発も明確化にはほど遠く、未だに大量の放射性物質を汚染水として排出し続け、海洋放出を余儀なくされた原発が、今後40年、50年と存在し続ける限り、多くの福島県民は死と隣り合わせの生活を送っていると言っても過言ではない。また、そのような現状をマスメディアが取り上げることは年に一度の3月11日以外は滅多にないことが、多くの国民の福島県の現状に関する無知の要因になっている。
福島県の未来を創造するには、私たち大人に残された時間では圧倒的に足りない。では私たちが今なすべきことは何か。それは、今を生きる子供たちに、これから生まれ来る子供たちに、つまりは未来を生きる子供たちに、これまでの経過と現状の分析を丁寧に伝えつつ、有能な人材を育て、福島県の未来創造を託すしかないのだ。